
精神鑑定報告書
文書分類:内部評価記録・精神観察関連(機密第4号)
対象氏名:白金⬛︎
所属:神魔管理機構 観察局
現職位:局長(階位第一等、最年少抜擢)
【I. 総合評価】
対象者・白金⬛︎について、当局が定期的に実施する標準精神状態鑑定を実施。
被験者は全質問に対し即時・かつ論理的に応答しており、語調・姿勢・発話構成から判断して、対外的な精神安定性に大きな異常は見られない。
ただし、以下の各項において深層的な人格構造の異常、あるいは記憶的乖離の兆候が複数確認された。
【II. 詳細所見】
1.自己同一性認識の特異性
対象は自己に関する定義において人格の継続性に対して微細ながら認識上の歪みが認められた。
特に“名前”や“血筋”といった固有情報への反応時に、微細な視線逸れ・沈黙・冗談による逸らしが観察された。
これらは隠蔽的な副次人格形成の可能性を否定できない根拠として記録される。
2.情緒反応の歪曲と遮断
感情刺激画像・音声に対する反応は全体的に鈍麻傾向を示すが、一部の質問に対してのみ異常に高い反応強度が認められた。
特に死の記録に関連する設問に対し、無言・笑み・肯定的反復など回避ではなく強制的逸脱による対処が行われている。
この反応は反復された精神防衛行動の痕跡と考えられる。
3.外部同調傾向と対人構造の擬態性
対象はあらゆる対話において冗談、軽口、古い俗語を頻用。これにより聴取者側の判断を意図的に“混濁させる傾向”が強く見られる。
一見社交的であるが、その言語選択には一貫した他者に実態を掴ませないようにする意志が認められる。
現状においては破綻の兆候はなく、寧ろ高い演技的知性を伴った対人構築である。
【III. リスク評価】
評価項目
判定区分 備考
日常業務遂行能力 安定、処理精度・応答速度ともに標準以上
社会的関係性の維持 表面安定、内部断絶の兆候あり/偽装傾向強
感情制御能力 選択性有、刺激トリガーによる異常発露可能性あり
異常行動発現リスク 中程度、暴発的逸脱リスクを想定、要経過観察
乖離・解離性傾向 有、自己像に対する認識の二重性が認められる
【IV. 鑑定結語】
本件対象者は、表面的には安定的で職務適格性を有するが、
その言動と深層反応において複合的な乖離性自己認識、演技性人格、及び記憶的遮断構造が認められる。
現段階では通常勤務に支障なしと判定するが、今後の精神的逸脱・感情暴走リスクを否定しきれず、
予備的監視対象指定(区分-B/内部経過記録対象)として継続調査を提言する。
備考: